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■ストーリータイトル■

才媛ていすと
~タイムトラベルラプソディ~



■ストーリー概要■

我国の最高学府『頭狂大学』。その大学院には、一人の名物博士がいた。
姓は台善寺。
名は雀。
若干十八歳という若さで、量子物理学博士の肩書きを持っている。
彼女が今この瞬間に、彼女の助手と共に作り出したのは、長年の研究の結晶・タイムマシーン。
そして今、彼女は旅立つ。まずは古代の日本へと。
彼女の旅の道連れ。
それは持ち前の知性と、好奇心旺盛な野次馬根性、ワガママで大迷惑な行動力。それと、あなたとの絆。



■プロローグ■

「完成しましたね……」
「うん、完成やな……」
 感慨深げに、彼女は相槌を打つ。
 今、我々の目の前、工作機械の台上には、長年の研究成果であるところの、腕輪型量子時空転移器──つまり平たく言うと、タイムマシンが乗っている。
 形は、そう、大きめの腕時計くらい。デザインは……まぁ、あまり深くは言わないでおこうかと。なにせ、敬愛する我が師、自称『千年に一人の大天才』台善寺雀博士のデザインですから、文句を言ったら殺され……いあいあ、バチが当たるというモノです。
 間違っても、そこらの子供達が持ってる様な、『ナントカ戦隊の隊員が持ってそうな代物』とか言ってはいけない。
「さて……」
 不意に、博士はこちらを見た。
 ──ぎくり……嫌な予感。まさか、また実験台になれとか言うんじゃあ……
「え~と、な、なんでしょ……?」
 取り敢えず、満面の笑顔を向けてみる。
「ふっふっふ、あかんなぁ、分からへんの? まずは理論を立てた。こうして証明するための道具も作った。ここから先は、理論の実践あるのみやんかっ!」
 グッ! と親指を立ててみせる博士。歓喜で笑顔がプルプルしてますよ?
「……ああ、それで今から実験ですか……はいはい、分かりました、またわた……」
「ってワケでやなっ! これから飛んでみるさかい、あと頼んだでっ?」
 言うが早いか、博士は台から腕輪型量子時空転移器を迅雷の如き速さでひったくると、そのまま装置を作動させた。
 刹那──
 白。
 真っ白い閃光。
 それが収まった時──

「……あ」
 短く、ただそれだけしか言葉が出なかった。
 目の前には、あのがさつで、天真爛漫で、そして究極の自己中だったあの人の姿はどこにも無い。そこには、あの耳障りな関西弁の面影はなく、ただ静寂だけが残されていた。
「……さて、おなかも減ったし、何食べようかな……」
 そう呟いて、実に晴れやかな気持ちで研究室の出口に足を向ける。
 思えば、MITを飛び級で卒業して、故郷の大学で博士号を取ろうと、帰郷してから早五年。
 そう、どこをどう間違ったか、傍若無人、大胆不敵、ナントカとナントカは紙一重、を体現する、かの天才少女博士に捕まって、苦節五年でございますよコンチクショウ。
 しかし今、ようやく、ようやく解放されたのでゴザイマス! うれしいなぁモウ!
 まぁ確かに、日本の学会は惜しい人材を失くした訳だし、正直言って彼女の論文は、常人が推し量れないほどの、独自理論で完全武装しておりましたとも。
 しかし、科学実験と人身事故は、決して無縁ではありませんから!
 そして、敢えて今ここで、声を大にして言いたい!
 あの各種実験の、助手としてではなく『実験体』としての苦難の記憶を回顧しながら!
 すばらしい、とてもすばらしいこの一言を!

「フリィィィーーーーーーダァァァーーーーームゥっ!」

 感動の涙と共に、静寂が研究室を満たす。
 いま在るのは感動の余韻、ただそれだけ。

 だが──

「あーあー、テステステス」

 そんな感動は──

「あ、聞こえとんな? 居留守つこてもムダやで?」

 自分の腕時計のあたりから──

「ウチやウチ、超天才美少女博士、台善寺・す・ず・めっ!」

 ──儚くも砕け散った。