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<一通目>
あ、あの…。初めまして。
鏡の中の世界の方とこうしてやり取りできるだなんて思ってもいなくて、まだ信じられない気持ちでいっぱいですけど…。
せっかくこうして出会う機会を貰えたんですもの、勇気を出してお手紙しますね。
私、あまりこうやって誰かとお話する事がなくて…失礼な事や気分を害する言葉を言ってしまいはしないかと、少し不安です。
もし、そう感じたらそっと教えて下さいね。
誰かと仲良くした経験がないから…まだ見知らぬ貴方とは、何でも言い合える存在になりたいんです。
なんて…こんなことこんなこと、お願いすることじゃありませんね。それこそ、気分を害してしまわれるかも。
もっとしっかりしなくっちゃ…。
でも、私の事を少しでも知って貰えたら、そして貴方の事を少しでも知っていけたら、本当に嬉しいです。
まずは私の事を知ってもらう一歩として、簡単に自己紹介させて頂きますね。

名乗るのが遅くなってしまってごめんなさい。名前は魅姫(みき)と申します。
みんなには、鬼封じと呼ばれています。
でも、まだその力を使ったのは一度だけで…これからお役に立てるように、頑張ろうと思います。
歳は、十七を数えたところです。
山の中にある社に、身を置いています。
寂しくないと言えば嘘になりますが、鬼封じは不浄の者で神に許されるまで、社を離れることは許されないと聞かされていますもの。仕方がない事なんですよね。
この手紙を読んでくださっている貴方は、どんな方なのでしょう?
寂しい思いをされてはいませんか?
ほんの少しでも、私のことを気に留めて下さったなら。
そして、ほんの少しでも。お話してもいいと思って下さったなら。
お返事を頂けると嬉しいです。

その時を、心待ちに。明日を生きて行きたいと思います。
それでは、また。お話しできる日を、祈って。
魅姫



<2通目>
わゎ…お返事ありがとうございます。
まさかお手紙を頂けるなんて、信じられなくて。受け取ったその日は、もう何をして過ごしたかも記憶にありません。
本当にありがとうございます。もう、これだけで一人でも生きて行けます。
あ…こんなこれで終わりみたいな言い方、よくありませんね。
呆れずに、どうぞこれからもよろしくお願いします。

$(ユーザー)さんも、私と同じように鬼封じをされているんですね。
だからこそ、この鏡は私たちの世界を繋げてくれたのかもしれません。
私わからないことだらけで…いろいろ相談に乗っていただけると嬉しいです。
鬼封じの先輩から、小さくてもいいんです。アドバイスを貰えたら、きっともっと頑張れると思うから。
知り合ったばかりの方に、あつかましいお願いでしょうか?
でも…寂しい思いをされてはいませんか?そう問いかけた私に。
真剣に答えてくれた$(ユーザー)さんだから、お願いしたいと思ったんです。
大なり小なりであっても、寂しい思いを全くしない人なんていないって、わかっていたのに。
もしかしたら、自分ではそう思っていなかったけれど。
私の弱さを慰めて欲しくて、言葉に出てしまった問いかけだったのかもしれない。
そんな弱い私に$(ユーザー)さんのくれた言葉は、確かな勇気をくれました。
そう。慰めではなく、力をくれたんです。
$(ユーザー)さんのように、強く生きていけたらどんなに素敵でしょう。
$(ユーザー)さんの優しさに近づけたら、どんなに嬉しいでしょう。
その為の力を、少しでもいい。貸してほしいんです。
…お願いしてもいいですか?

危険なことも多いお仕事ですから。
お怪我などされませんように、ご自愛下さいね。
それでは、また。お話しできる日を、祈って。
魅姫


 
<3通目>
おはようございます。魅姫です。
$(ユーザー)さんがこの手紙を読む頃は、こんにちはでしょうか…それともこんばんはかもしれませんね。
こうやって、普通に誰かとご挨拶することもあまりなかったので、それだけでなんだか嬉しいです。
今日はとてもいい天気で、小鳥の声と共にすっきりとした目覚めを迎えることができました。
今までこんなに、一日の始まりを嬉しく思ったことなんてありませんでした。
きっと、こんな風に$(ユーザー)さんとお話できる楽しみができたからかもしれません。
まだまだ、お務めは上手くできないですけど…。
$(ユーザー)さんが応援していて下さると思うと、頑張っていけそうな気がします。
私の我儘なお願いを、快く承諾して下さって本当にありがとうございます。
…いつか、私も。
$(ユーザー)さんから、どんなことでも相談してもらえるような人間に、なれればいいんですけど。
なにわともあれ、まずは自分が成長しなくちゃ。
見守っていて下さい、ね?

今日は$(ユーザー)さんに、お伺いしたいことがあります。
それは、鬼という存在のこと。
そんな基本中の基本を質問するなんて、どういうつもりだと。怒られてしまうかもしれません。
でも…私には、その基本を教えてくれる人がいなかったから。
依頼に来るみなさんは、ただ口を揃えて「滅ぼすべきもの」「封じるべきもの」だと言います。
確かに、鬼は人間を襲う恐ろしい存在なのかもしれない。
だけど。
初めて正面から見た鬼の瞳は、すごく悲しそうに見えたんです。
そう、まるで助けを求めるみたいに。
実は、その後の記憶が曖昧で…どうやってその鬼を封じたのか、私にはわからないんです。
気がついた時には、もう鬼はそこにはいなくて。
少しでも、救ってあげられたのか…それとも、あの瞳をさせたまま封じてしまったのか、もしかしたら滅ぼしてしまったのか。
何も、わからない…。
大事な記憶をなくしてしまうような私が、鬼を救いたいなんておこがましいかもしれないですけど。何故だか、その瞳が忘れられなくて。
$(ユーザー)さんは、鬼のこと。どんな風に思っていらっしゃいますか?
こんな風に悩んでいる内に、私が負けてしまえば元も子もないことは、わかっているんですけど…。
私の考えは、やっぱり甘いと思われるでしょうか?

率直なご意見を、聞かせて下さると嬉しいです。
それでは、また。お話しできる日を、祈って。
魅姫


 
<4通目>
こんにちは、魅姫です。
この間は、$(ユーザー)さんなりの答えを出して下さって、ありがとうございました。
みんなの言うこと、$(ユーザー)さんの考え、そして私の気持ち。
いろんな意見があって…大切なのは。
そう、自分を信じること。なんですよね。
なんだか、自分が間違っているわけではない。いえ、そもそも何が正解で何が間違っているかなんてわからないし、そんなことは問題じゃない。
それがわかっただけでも、前に進めそうな気がします。
やっぱり、$(ユーザー)さんに相談してみてよかった…。

今日は$(ユーザー)さんの優しさに甘えて、少し重い話をしてもいいですか?
実は、この間。
$(ユーザー)さんにお手紙を送った直後、鬼が現れたんです。
私、勇気を出して鏡を手に…対峙したはずなんですけど。
またその後の記憶が、途切れているんです。
気がついたのは次の日の朝、いつものお布団の中で。
妙に気分は高まっていたんですけど、私うまく鬼を封じられたんでしょうか…。
こんなこと、聞かれても困りますよね?
やり取りができるからと言って、この鏡でお互いの世界を見ることができるわけでもないのに…。
でも、この鏡が鬼を封じるものだとすれば。
もしかしたら、私が封じた鬼は$(ユーザー)さんの世界に飛ばされているんじゃないかって…。
本当にそうなら、すごく大変な問題でもあるんですけど…。
鬼がそちらに飛ばされたということはなくても、私の手紙が着いた後、$(ユーザー)さんの世界に異変はありませんでしたか?
失くした記憶を取り戻す何かのきっかけでも、拾えないかと思って。
どんな小さな変化でもいいんです、もし私と$(ユーザー)さんの世界がわずかにでも、繋がっているとしたら…。

広い世界の中で、小石を探すような途方もないお願いでごめんなさい。
もっと、明るい話題ができればいいのに…。
それでは、また。お話しできる日を、祈って。
魅姫