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■ストーリータイトル■
バルガラム王国記 魔森章



■ストーリー概要■
 ここ最近、領地拡大中の『バルガラム王国』の南には、前人未到の『魔の森』がありました。
 魔力が濃く漂い、これまでまともな調査が行えなかったと伝わる、実に怪しげな森です。
 しかし王国は、その森の調査実施を決定しました。国の発展には、どうしても必要なことだからです。
 その調査の先行を受けたのが、エルンシュト王子でした。魔力が濃く、正しく五里霧中状態の森の中を軍が行進するのは不可能なので、
 まずは行軍できるルートを探せと王子は命じられたのです。しかも、一人で……です。
 場所が場所なので、魔法術レベルの低い者が着き従っても、王子の足手まといになるだけだろう。
 よって、有能な王子様が一人で行けばいいじゃん? と言う感じらしいです。
 ぶっちゃけこれ、最近頭角を現してきた自分に対する政敵からのイジメだろう?
 つまりは魔の森の中で一人で息絶えて来いってことだろう?
 王子は表面上快く命令を受けつつも、内心で深く嘆息するのでした。



■プロローグ■
 バルガラム王国の南方には、これまで長きに渡って人の手が加えられることのなかった『魔の森』がありました。
 しかし賢王暦312年の夏―――王国は森の調査実施を決定しました。森にある資源を入手するために、
 今はまだ人の住めない森を、有効活用出来る土地とするために、その調査はどうしても必要なことでした。
 そしてその調査に先行する形で、王位第3継承者であるエルンシュト王子が、単身で森に向かうことになっていました。
 未開の森。魔力が渦巻き、動植物が巨大化し、蛮族が住む森。調査隊がいきなり行軍を開始することは出来ません。
 そんな時、勇敢で高度な魔法術を持つ王子が「私が調査隊の進む道を作ろう!」と名乗りを上げたのです。
 この王子であれば、たとえ一人で魔の森に入ったとしても、必ずや王国へと舞い戻ることでしょう。
 そう考えた人々は、勇敢なエルンシュト王子に大いに声援を浴びせたのでした。

「……とまぁ、後世の歴史書には、僕が自分から行くって言った風になるんだろうね」

 出発を数日後に控え、エルンシュト王子は準備を進めながらに嘆息していました。
 行きたくないと、その顔には書いてあります。行く前から帰りたそうです。

「先の戦争で名誉指揮勲章までもらったしね、僕。自慢じゃないけれど、兵にも民にも人気があるし」

 エルンシュト王子には二人の兄がいます。今現在、その二人からは王子に対して熱烈な殺意が飛んでいます。
 分かりやすく言えば「王位継承権第3位のくせに、目立ってんじゃねぇぞ、コラァッ!」という感じです。
 ちなみに二人の王子は先の戦争でグダグダな指揮を執り、無様に敗走したことで有名だったりもします。
 兵からも民からも「上の二人の王子は無能だしなぁ」と、影口を叩かれっぱなしです。

「僕に森の中で野たれ死んで欲しいんだろうね、兄上たちは」

 苦笑とも嘲笑とも取れない表情で、王子はそう言いました。

「でも、俺たちは王子に死なれちゃ困ります」
「私たちも、やはり同行しましょうか?」
「何も本当に一人で行くことはないと思います!」
「そうですよ! 私たちが、ついて行きます!」

 人望のある王子は、出発準備を手伝ってくれる直属の近衛兵からも気遣われます。
 しかし王子は「命じられた以上、一人で行かないと」と、首を振りました。
 そして背後に立つ$(ユーザー名)に、こう言いました。

「魔力の濃い森中でも、ちゃんと陣を敷けば簡易転移は可能なはずだから、少なくとも一週間に一度は報告を送るよ。
 だから、君やパメラやシグルナにはしっかりとした補佐をお願いしたい。頼めるよね、$(ユーザー名)?」

「もちろんです。お任せください」

 王子に真摯に願われた$(ユーザー名)は、そっと頭をたれるのでした。
 エルンシュト王子の冒険が今、始まろうとしていました。不本意ながら。