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過去の落選作品です。
<一次選考用提出フォーマット>
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・著者名 吉永 咲
・あらすじ
『ダリム・シュレルの檻』
千年の昔より、歴史に名を残す一級犯罪者「ダリム・シュレル」
国籍不明。家族構成不明。
しかし、彼のおこした大罪の数々は、世界各国の歴史の教科書にも載り、知らぬ者はない。
彼は自らが起こした非道な行いによるカルマから逃れることができず、
幾度となくこの世界に転生を繰り返し、現世での犯罪を助長する存在となりうる。
それに対抗する手段として、数百年に一度、「ダリムの種」を摘む能力を従えた「選別する者」の家系の人間が力を増して現れる。
選別する者は、水面下での調査によって、各国から15歳になる少年少女を数人を選ぶと、
また一定の調査期間を経て、その中からダリムが転生した者を見抜き確実に檻へ送る役割を持つ。
主人公は15歳の少女。
彼女は必死で「自分はダリムの生まれ変わりなどではない!」ということを、
調査期間である約7ヶ月間、隔週で送られてくる詰問書に対し、文書で訴えなければいけない。
選別する者は、ダリムの正体を見破れるのか。
今、高層ビルの最上階、その一室に集められた5人の少年少女の前に、「選別する者」が立つ。
・メインキャラ設定(性別、名前、年齢、職業、容姿、性格など)
[名前] 流良屋 (るらや) =偽名
[性別] 男性
[年齢] 25歳
[身長・体格]身長180センチ 体重67キロ 国籍不明。
[髪型] 色素が薄い感じ。少し長め。手入れしていない。ぼさぼさ。
[顔つき]めがねをかけているが、たいていレンズは曇り気味。 めがねがあると優男風。めがねをはずすと一転してシャープな印象に。
[服装・アクセサリー] くたびれたジャケット姿。ノーネクタイ。変な帽子を被っている。
[職業] 選別する者。ふだんは骨董屋をやっている。(偽りの職業や名前はいくつかある)
[趣味・嗜好] 甘いものが好き。好物は苺のケーキ。モノポリーが得意。猫が怖い。(ペットのフェレットを捕られそうだから)
[生い立ち、家族構成] ダリムを憎んでいるが、ダリムの種の5人には丁寧に接する常識的な人物。
選別のその時まで、子供たち5人はすべからく無罪であるとの主張を持つ。
家族はいない。変な帽子の中で、フェレットを飼っている。
※流良屋 (るらや)は、 骨董屋の屋号。
選別する者であり、過去にダリムによって家族を奪われた憎しみを抱える青年。
前世では、ダリムの種に選ばれ、冤罪により檻に送られた過去を持つ。
再び転生したこの世界で、皮肉にも「選別する者」の家系に生まれた。
ダリムを選別する重大な責務をおうが、最後には全員を檻へ送ろうと考えている。
前例はないが、それが世界の平和のためだと信じている。
・ユーザーキャラ設定(性別、年齢、職業など)(*1)
[名前] わたし
[性別] 女
[年齢] 15歳
[身長・体格]155センチ 42キロ
[職業]中学三年生
[生い立ち、家族構成]
平凡な家庭に生まれ、不自由なく育つ。性格はややおっとり。
だが、そんな自分の中にも凶暴で残酷な一面があることを、流良屋との出会いで感じてしまう。
自分はダリムの生まれ変わりなどではない、そんな自覚はないと思いつつ、自分を信じきれないことが恐ろしい。
ときおり見せる流良屋の頼りない笑顔やさみしげな表情が、淡い想いとなって心に残る。
・世界設定(1000文字以内)
・メインキャラとユーザーキャラの関係の変化
選別する者と、される者。
ユーザーキャラはメインキャラに、恐れとほのかな憧れを抱く。
・プロローグ(必須ではない。地書き使用可。文字数無制限)
――さて。みなさんに集まっていただいた理由は、もうご存知ですね。
高層ビルの最上階。
ワンフロアーがまるまる一部屋という恐ろしく無駄な空間に、二人の男性と五人の若者が、貧相な長机を挟んで適度な距離をもちながら向かい合って座っている。
若者側の一人は、聡明な印象を与える長い黒髪の少女。
一人は、ふわふわとした栗毛で、丸い瞳の少女。
一人は、短髪をぴんぴんと左右にはねさせている快活そうな少年。
一人は、きつい目元をした猫背の少年。
一人は、車椅子に乗った儚げな少年。
――そう、他でもありません。『ダリム・シュレル』のことは、皆さんよくご存知の通りです。
「……ダリム・シュレルのことは、子供の頃から本で読んでいたから」
丸く大きな瞳を自信なさげにふせながら、栗毛の少女が小さく答えた。
快活そうな少年も、ぶっきらぼうに続ける。
「教科書にも載ってる。常識だよ」
他の三人もふし目がちだった顔をあげて、進行役の顔を見る。
けれど、逆光の上に脂ぎった顔面や、かけているメガネの光までが反射して、その表情の細部までは読み取れなかった。
「俺、自分が選ばれるなんて思ってなかったよ。すっげー確率じゃない。この世界に十五歳って、何人くらいいるの?」
少年は、短く切りそろえられた髪をくしゃくしゃと触った。
いかにも、「俺、まじで参ってます」という表情だが、その動作は幼くどこかまだ実感が伴っていない。
――今回、この日本の地でダリム転生の候補者が五人揃って出たのは、選定の歴史始まって以来初めてのことです。
従来は、諸外国からほぼ一人ずつ選定されてきたと聞いています。
我が国からダリムが出たという例もありませんでした。
しかし、そういう我々も「この時」に立ち会うのは初めてなものでね。
そういうものだった、という程度の認識なので。逆に、国家間の手続きやら諸事情に手間が省けるのはやりやすいことでもあります。
その時、もう一人の進行役であり、くたびれたジャケットを羽織った優男風の人物が、初めて口を開き男の言葉を制した。
「本部長。お言葉ですが、選定においてあらゆる諸事情をこなすのは、ダリム捕獲本部の使命です」
――ああ。失敬。……その、なんですか、皆さん同じ日本の中学生ですし、言葉の問題もなければ親しくなるのも早いのではないのですか。
進行役は失言をごまかすかのように、そう早口で言った。
「仲良くなる必要など、ないはずです。私たちは互いの接触を禁じられるんでしょう。ここで初めて会って、あとは、誰か一人が消えるまで。消えたあとも、もう二度と会うことなんてないんだわ」
今までうつむいていた長い黒髪の少女が、興奮した様子で言葉を返した。皆が彼女に注目する。
――消えるだなんて。消失するわけではないんだよ。
「そうね、間違いだわ。檻に入れられるのよね。ダリム・シュレルの檻に」
少女の声はかすかに震えていた。
なまじ、自分にその知識が有るがゆえの恐ろしさに耐えるように。選ばれてしまった不運を呪うように。
――皆さん、ご心境を御察しします。ですがこれは、三百年前からの決め事です。
三百年前、フランスの地でダリムの転生体が「選別する者」によって見分けられました。
まさに彼の選別通り。見事に選びきりました。
途中、ダリムに謀られて迷いも生じたようですが、最後にはダリムを再び檻に送ることができたのです。この世界に平和が戻ったのです。
いいですか、これは必要な儀式なのです。
歴史が、教育が、文化が。あらゆるメディアを通してダリムの恐怖を謳っています。
今、この時代。あの一級犯罪者が再び生まれ変わって、転生したのです。
そして、あなた方の中に、ダリムはいます。
さて、これも恒例とのことですので、早速聞かせていただきますが……、誰がダリムだ?
――ははは。答えるはずがない。これも例年どおりのはずです。結構。
ここで白状するようなダリム・シュレルではないことは、我々本部も百も二百も、三百年も承知です。
ですが、このままではらちが明かない。
そういうことで、皆さんもよくご存知のとおり、ここ、私の隣にいる「選別する者」の血を引く彼が、あなた方の中にいるダリムを見つけ出します。
そうですね、期間は約七ヶ月。ダリムでない方、安心して下さい。彼の腕は確かですよ。
君たち五人を候補に上げたのも、彼の力です。ダリムの種を、君達の中に見たと……。
そこまで一息に言うと、進行役は手元の時計をちらりと見た。一瞬の沈黙に、栗毛の少女が泣き出す。
「わたし……。わたし、ダリムなんかじゃありません。絶対に絶対に違います。お願い、間違えないで」
続いて快活そうな少年も、立ち上がってまくし立てた。
「俺だって違う! 種が見えたとか言われても、意味わかんねえ。俺は犯罪を犯したいなんて、一度も思ったことない!」
他の三人は、それぞれ椅子に座ったままで深くうなだれている。叫びだしたい気持ちは、とても声にならないようだ。
――大丈夫です。過去に選別する者が間違いを犯したことはありません。
ご存知の通り、犯罪の芽はすべてダリム・シュレルによって引き起こされるのです。
彼を檻に入れてしまえば、世の中は平和を保てます。皆さん、選別のその時まで、しばらくご協力を。